第1章

【弔い系自分デストロイ エンターテイメント】 金のうんちを出す!最強デトックス〜金子革命〜

2017年9月4日 自由が丘某所ー


「お金がなくて家賃を滞納しているなんて、自分に恋するセラピストって名乗っているのに本当は自分のことが大っ嫌いだなんて、そんな事を人に言うのだけは絶対に嫌!だって、大嘘つきだってばれちゃうんだもん!ヒプノセラピーの生徒さんだって、昔好きだった人だって、弟だって見ちゃうかもしれないし・・それだけは、ぜっっっったいに無理!!」


智子は頑なにそう言う。


「ともちゃん、『素直になることが人生に魔法をかける♡』って自分のHPに書いてるじゃん!もう限界だよ。嘘に嘘を重ねても余計苦しくなるだけだよ。本当のことをみんなに言おう!全部そこから始まるよ。そうすればきっと仕事の依頼も入ったりして、お金もまわりだすよ!」


説得する寛子とちあき。


「ともちゃん、大丈夫!もう言おう!言っちゃおう!人に見られても大丈夫だから!弟とか皆にはまゆから見ないように言っとくから!」


たたみかけるように言うまゆ。(※まゆは弟や智子の友人と知り合いではありません)


「でも・・」「だって・・」

智子のできない理由を一つひとつことごとく潰していくデストロイヤーまゆとちあき。


そうして夜は更けていくー


次の日の朝。智子はついに決めた。


「私、本当の自分を皆に知ってもらうー。もう隠して生きるのは嫌!本当に切望していたことは、素直になること。状況は『ひどいね〜!』って言われても、どんな時だって心をオープンにする!」




2017年9月5日ー


智子は自らを救うため ダサい自分を勇気を持って葬り去った。


ブログにて、全てを公開し、イベント開催・御香典(お金のダンク)・甘えさせてくれる家族を募ったのだ。

【緊急告知!】明日 9/5 夜グループヒプノ『”金のうんち”を出す!最強のデトックス(智子のブログはこちら)

そんな彼女の美しさと勇気に心を揺さぶられたCHAPAWONICAは、喪主になるべく立ち上がった

〜「金のうんちをだすね」と君が言ったから九月五日は金子革命〜(まゆのブログはこちら)


金子智子を通してあなたをデストロイする、金子革命という名の物語の歯車が、急スピードでまわりはじめるー

Facebookにたてたイベントページには、智子の勇気に心を動かされた者たちがどんどんと集っていった


ある者は人見知りな自分を突破して急遽弔いイベントに参加し、智子のヒプノセラピーで自分なりのコタエを見つけた

ある者は食料をおくり

ある者は困ったらいつでも泊まりに来てください、と家族宣言をした

ある者は自分の今まで言えなかった恥ずかしい過去を告白し

ある者は全財産を投げ打ってブログを読み終わる前に御香典を振り込んだ


金子革命は

それぞれの心の中で

静かに火を灯していったのだ

企画の影の主役である金のうんちは、ものすごい勢いで拡散された

あちこちのSNSで金のうんちをアイコンにする者が現れ

ちあきとまゆが狂ったように作り続けた金のうんちスタンプの数は2日で80個にものぼった

無料でダウンロードできるようにしていたにもかかわらず、全く同じものの有料版を購入し金子姉妹を応援する者まで現れた

ひとり一人の脳内で、金のうんちが心に語りかける


「あなたの中の 金のうんちの声に 耳を傾けてー」


あっちを見ても金のうんち、こっちを見ても金のうんち。

金のうんち祭りが開催され、思わず笑いが止まらなくなる金子姉妹。

「私たち、金のうんちに本当に救われてるー。笑えるって、こんなに嬉しいことなんだね」

結果、9月17日時点までで集まった御香典は82,110円。

金子姉妹はネット・ガス・電気代などの支払いを終え、なんとか当面の生活をつなぐことができたのだ。

が、彼女たちの元にはまだ仕事依頼は入ってきていない。

家賃 3ヶ月分36万円分、弟からの借金30万円は依然として残ったままだ。

さらに、来月10月には家の賃貸更新が迫っているー。


どうなる、金子姉妹・・・?!